AIテレアポの通話品質を抽出して確認する方法
AIテレアポの通話品質は、商談になった録音だけを聞いても判断できません。発信した全件を母集団にし、無作為に選ぶ基準枠と、停止希望や転送失敗を確認する重点枠を分けます。不在や留守番電話も発信運用の結果として残してください。
抽出した後は、システムの結果分類をそのまま正解にしません。録音または通話イベントと照合し、CRMの次の処理まで確認します。この手順なら、普段の品質と件数は少なくても見逃せない失敗を同じ週次レビューで扱えます。
母集団を発信試行と会話に分ける
最初に、集計する単位を決めます。電話番号へ発信した一回を「発信試行」とし、相手が応答してAIとのやり取りが始まったものを「会話」とします。会話だけを母集団にすると、不在判定や留守番電話への応答、接続前の切断が品質確認から消えてしまいます。
Amazon Connect Customerの問い合わせイベントでは、発信開始から完了までを段階ごとに扱います。システムへの接続と担当者への接続は別のイベントです。アウトバウンド通話では、ダイヤルが成功しない場合や相手が応答しない場合も切断イベントの対象です。接続した通話に限っても、人が応答したのか留守番電話なのかを分けて記録できます。
発信試行には、通話IDと対象リードのIDを残します。キャンペーンまたはリストの出所と発信日時も必要です。会話設定の版から、システムが付けた結果と次の処理まで同じ行でたどれるようにしてください。電話番号だけでは、番号変更や共有番号、重複登録を区別できません。
会話品質を見るときは録音を使います。接続率や不在判定を見るときは発信試行を使います。分母を分けておけば、会話が自然になった一方で留守番電話への誤判定が増えた場合も見落としません。
無作為枠と重点枠を分ける
普段の通話を知るには無作為抽出が必要です。しかし、停止希望や苦情のように件数が少ない結果は、無作為抽出だけでは一度も選ばれない場合があります。二つの枠を作り、目的と集計を分けてください。
基準枠は、対象期間に発生した発信試行から機械的に選びます。担当者が聞きやすい録音を選ばないことが重要です。主要なキャンペーンや時間帯の構成が大きく違う場合は、先に区分し、その中から同じ方法で選びます。
重点枠には停止希望と苦情を入れます。結果分類が不明な通話や有人転送の失敗も対象です。再架電禁止後の発信や設定変更直後の通話も確認します。影響が大きい事象は、発生件数が確認可能な範囲なら全件を見た方が良いです。
Genesys Cloudの品質ポリシーは、発信方向や担当者などを条件に評価対象を選べます。時間帯、キュー、結果コードなどの条件も指定可能です。担当者別の評価割り当てでは、一定期間の固定件数または最低件数を伴う割合を指定できます。製品に同じ機能がなくても、抽出条件と件数を週次の運用票へ固定すれば考え方は再現できます。
基準枠と重点枠の点数は平均しません。重点枠を増やした週は、意図的に難しい通話が多くなるためです。基準枠は普段の品質変化を見る数字、重点枠は重大な失敗を閉じるための確認として扱います。
結果別に抽出件数を固定する
基準枠の中でも、商談化した通話だけが多くならないようにします。システムの結果分類を使い、結果ごとに同じ件数を選ぶ方法が分かりやすいです。全体の発生率を推計する抽出ではなく、各結果の品質を毎週同じ条件で比べるための割り当てです。
区分は、自社の次の処理が変わる粒度にします。接続後に日程が決まった通話と、関心はあるものの担当者へつながらなかった通話は別です。明確に断られた通話も分けます。
不在または留守番電話、結果不明も別にしてください。停止希望は単なる断りへ混ぜず、重点枠で確認します。
件数の少ない区分は、期間中に発生した全件を選びます。件数の多い区分は、先頭から選ぶのではなく乱数や一定間隔で抽出してください。営業時間の前半だけを選ぶと、時間帯による接続や担当者在席の差が結果へ入り込みます。
全体の結果比率は、抽出前の全発信試行から集計します。録音を人が確認した標本は、結果分類の正しさと会話の問題を詳しく見るために使います。この二つを分けると、少数の録音から商談率や停止希望率まで推計する誤りを避けられます。
同じ相手への再試行を一連で見る
再架電がある場合は、一回の通話だけでなく同じ相手への一連の発信も確認します。不在から再架電を経て接続した履歴を、独立した三件として扱ってはいけません。間隔が短すぎたことや停止希望後にもう一度発信したことが見えなくなります。
抽出時は、選ばれた通話の対象リードIDから前後の発信試行を開きます。最初の発信日時と再試行の理由を並べます。次に発信できる日時と停止状態も同じ時系列へ加えてください。企業の代表番号へ複数の担当者が登録されている場合は、電話番号単位と企業単位の両方で重複を確認します。
一回目は不在だったとします。二回目は接続して停止希望を受けたのに、三回目も自動発信されました。二回目だけなら、AIが停止希望を聞き取れたかしか評価できません。一連で見ると、その結果が停止リストへ反映され、後続の発信を止めたかまで確認できます。
Amazon Connect Customerの問い合わせレコードには、問い合わせIDのほか、転送や関連する問い合わせをたどる識別子があります。ただし、別の日時に行う再架電を同じ相手へまとめる方法は自社のデータ設計で変わります。AI電話サービスのIDとCRMのリードIDを対応付けてください。
録音と結果分類を照合する
抽出後は、システムが付けた結果と人が確認した結果を並べます。自動ラベルが正しければ、そのまま次の処理へ進めます。違っていた場合は、元の分類を消さず、確認済みの結果と根拠となる時刻を別に残してください。
AIテレアポくんの公式サイトでは、会話録音の再生と文字起こし、自動ラベル付けが案内されています。nocall.aiも会話履歴の再生と文字起こし、架電結果の分析を提供し、結果をWebhookでCRMへ返せるとしています。こうした機能は抽出と照合を始める材料になりますが、自動で付いた分類自体を正解とはみなしません。
まず、録音または通話イベントで実際の状態を確かめます。「不在」と「応答直後の切断」、「断り」と「今後の発信停止希望」、「転送希望」と「担当者への接続完了」は別の結果です。次に、CRMのタスクや停止状態が確認済みの結果と一致するかを見ます。
不一致があれば、原因を一つ決めます。会話は正しくてもラベルだけが違うなら分類設定の問題です。ラベルは正しいのにCRMの処理が違えば連携または業務ルールを確認します。録音の内容そのものに問題がある場合に限り、会話設定の改善へ戻してください。
変更後の通話を別枠で追う
会話設定や結果分類を変えた後は、変更枠を作ります。基準枠へ混ぜると、変更前の通話が多い週では改善の有無を判断できません。適用日時と設定の版を残し、その版で発生した通話だけを選びます。
Amazon Connect Customerの自動応対評価は、特定のAIエージェントやその版、業務フローで付けた属性を条件に評価を実行できます。自社でも、会話設定の版とキャンペーンを通話記録へ付けると、変更前後を同じ結果区分で比べられます。
変更枠では、修正対象になった通話だけを選ばないでください。断りへの回答を変えた場合も、日程調整や停止希望が以前と同じように処理されるか確認します。変更前に合格していた結果区分からも同じ件数を選ぶと、副作用を見つけやすくなります。
今週の確認を始めるなら、まず直近一週間の発信試行を結果別に分けます。各区分から同じ件数を機械的に選び、停止希望と転送失敗は重点枠へ追加してください。選ばれた相手の再架電履歴を開きます。録音と確認済みの結果を比べ、CRMの次の処理まで同じ通話IDで照合します。