AI即架電の料金比較で確認する項目
AI即架電の料金は、フォームの受付件数だけでは比べられません。一件の受付から発信が始まります。相手が応答するとAIが会話し、必要なら人へ転送しますが、応答しなければ再試行も発生します。この流れを課金単位へ分けてから見積もりを取ります。
最初に、従量料金の発生点を確認します。発信試行・通話時間・AI応対時間のどこから料金が発生するかです。月額が同じでも、未応答を含むか、転送後も時間が加算されるかによって総額は変わります。
この記事では、料金表の安さを順位にしません。自社の一か月分の受付を、候補各社へ同じ条件で渡せる見積書へ直す方法を扱います。
一件の受付を課金イベントへ分ける
まず、問い合わせフォームから通話結果の記録までを一件だけ追います。その途中で件数や時間が増える場所を書き出してください。
| 業務の段階 | 数える値 | 料金へ影響する理由 |
|---|---|---|
| フォーム受付 | 有効な受付件数 | 連携処理や最低利用枠の基準になる場合がある |
| 発信要求 | APIや連携から渡した件数 | 重複要求や再送が発信試行を増やす |
| 発信試行 | 相手へ電話した回数 | 未応答や話中を含む件数課金の対象になり得る |
| 接続 | 相手または留守番電話につながった件数 | 通話料とAI処理時間の起点を確認する |
| AI応対 | AIが会話した時間 | 音声認識、応答生成、音声合成の従量費に関わる |
| 有人転送 | 転送した件数と時間 | 転送処理や二つの通話区間が加算される場合がある |
| 再試行 | 二回目以降の発信数 | 同じ受付でも発信試行と通話時間が増える |
| 結果記録 | WebhookやCRM更新数 | 標準連携か個別開発かで費用が変わる |
受付件数と発信試行数は一致しません。夜間の受付を翌営業日に送る処理や、無効な番号を発信前に止める処理もあります。反対に、未応答後の再試行があれば一件の受付から複数回発信します。
Amazon Connectのアウトバウンド料金は、キャンペーン処理を一回の発信試行ごとに課金し、音声利用は別の時間単位で示しています。未接続の試行にも最低課金時間がある例です。これはすべての製品に共通する料金ではありませんが、受付数だけで従量費を計算できない理由が分かります。
未応答を含む発信試行を数える
直近一か月の受付から、初回発信と再試行を分けます。通話結果は少なくとも六つに分けた方が良いです。応答・未応答・話中・留守番電話・無効番号・発信エラーです。どこまでを一回として請求するか候補ごとに確認できます。
見積もり用の発信試行数は、次の式で置けます。
月間発信試行数 = 初回発信数 + 未応答後の再試行数 + 話中後の再試行数 + システム再処理数
ここへフォームの二重送信を加えてはいけません。本来止められる重複は利用量ではなく、連携の不具合だからです。見積もりでは重複を除いた通常値を使い、検証では同じ受付IDを再送しても追加発信されないか確認します。
再試行回数を増やせば接続機会は増えますが、費用も発信数に比例して増えるとは限りません。未応答にも最低時間が加算される料金体系では、接続しない短い試行がまとまった費用になります。回数だけでなく、通話結果ごとの請求開始条件を質問してください。
接続時間とAI応対時間を分ける
相手につながった後も、すべての時間が同じ単価とは限りません。電話回線の通話時間とAIが会話する時間を分けます。有人転送後の時間がAI利用へ含まれるかも確認します。
確認対象には三つの時間があります。相手が応答してからAIの案内が始まるまで、留守番電話へ接続している間、転送先を呼び出している間です。製品によっては電話回線だけが動く区間と、AI処理も動く区間が分かれます。
Twilioの日本向けProgrammable Voice料金では、発信先によって分単価が異なり、SIPインターフェイスからの転送は別の単位で案内されています。ソクコムの料金ページも、ユーザー・AIエージェント・サーバー・チャネルの月額と従量課金を分けています。候補の料金表に「通話料」とだけ書かれていても、宛先・転送・AI処理を一つの単価と決めつけない方が良いです。
次の四つを別々に回答してもらいます。
| 時間 | 見積もりへ渡す値 | 確認する境界 |
|---|---|---|
| 呼び出し時間 | 発信試行数と平均呼び出し秒数 | 未応答時にも課金されるか |
| AI会話時間 | 接続件数と平均AI応対分数 | 音声認識や生成処理を含むか |
| 転送待ち時間 | 転送件数と平均待機秒数 | AIと回線のどちらが継続するか |
| 有人通話時間 | 転送成立数と平均通話分数 | 転送後も同じ回線費が続くか |
一通話ごとの端数処理も確認します。月末に合計秒数を分へ直す方式と、一回ごとに一定時間へ切り上げる方式では、短い通話が多い即架電ほど差が出ます。
連携費は初期構築と運用変更に分ける
即架電では、電話機能の前にフォームやCRMとの接続が必要です。標準APIが使えても、実際の業務へつなぐ設定や開発が無料とは限りません。
nocall.aiの公式案内は、CRMからAPIで架電を実行し、完了結果をWebhookで返す機能を示しています。料金はエントリープランを初期費用、月額利用料金、従量課金の組み合わせとして案内しています。APIやWebhookがあることと、連携作業が月額内で終わることは別に確認が必要です。
一方、ソクコムの料金ページではAPI連携とWebフックを標準機能として無料と案内しています。ただし、AIエージェントやチャネルなどの月額・従量課金・オプションは別です。比較するときは「APIあり」の丸印ではなく、次の作業を誰がいくらで行うかへ戻します。
初期構築には、フォーム項目の対応付けと認証設定を含めます。発信条件・結果を書き戻す項目・重複防止・エラー時の再送も対象です。運用変更には、フォーム追加・CRM項目変更・認証更新・Webhook送信先の変更を入れます。初回だけ安く見積もると、サイト改修や施策追加のたびに費用が発生します。
100件の受付を三つの利用量へ直す
見積もり例として、月100件の有効なフォーム受付を置きます。金額を仮定する前に、候補が単価を掛けられる利用量へ直します。
| 利用量 | 通常月の例 | 繁忙月の例 | 回答してもらう料金 |
|---|---|---|---|
| 有効なフォーム受付 | 100件 | 200件 | 基本枠と超過条件 |
| 初回発信 | 95回 | 190回 | 発信試行の対象と単価 |
| 再試行 | 30回 | 80回 | 未応答時の最低課金と上限 |
| 接続 | 60件 | 120件 | 回線の通話料 |
| AI応対 | 150分 | 320分 | AI処理の時間単価 |
| 有人転送 | 12件 | 30件 | 転送処理と転送後の通話料 |
| 結果の書き戻し | 100件 | 200件 | API、Webhook、保守費 |
数字は料金相場ではありません。自社の見積条件を作るための記入例です。通常月に加えて繁忙月を出すと、無料枠を超えた後の単価や処理上限が分かります。
三つ目は例外月です。連携障害やフォーム改修後に再送が増えた月を想定します。発信要求の受信結果が不明なとき、同じ要求を再送しても二重発信せず、料金明細でも重複を追えるか確認します。障害時の件数を通常利用へ混ぜず、誰の費用負担になるかを別にします。
見積書で料金の境界を確定する
候補各社へは、通常月・繁忙月・例外月の利用量を同じ表で送ります。回答は初期費用・毎月の固定費・従量費・運用変更費の四つへ分けてもらいます。
見積書に金額がない項目は、無料と判断しません。「基本料金に含む」「今回利用しない」「追加見積もり」のどれかへ確定させます。最低利用期間と最低利用額に加え、無料枠・超過単価・上限到達時の処理・契約途中のプラン変更も確認します。
料金明細で、受付IDから発信試行と通話時間を追えることも重要です。請求額だけでは、再試行が多かったのか、会話が長かったのか分かりません。運用を改善して費用を下げるには、課金イベントと通話結果を照合できる必要があります。
まず、直近一か月のフォーム受付を一つ選びます。有効受付・初回発信・再試行・接続・AI応対時間・有人転送を数えてください。その数値をAI即架電サービス比較表の候補へ同じ条件で渡せば、月額表示ではなく実際の業務量で料金を比べられます。